新潟日報 2025年5月1日
新発田市が2005年5月に紫雲寺町と加治川村を編入合併し、1日で20年を迎えた。行政組織のスリム化など一定の効果が見えてきた一方、課題だった少子高齢化、人口減少には歯止めがかからない。特に旧町村地域では過疎化が急速に進む。拡大した市域の端々まで、きめ細やかな目配りを求める声も強まっている。
「『一つの新発田市』という一体感が出てきた」。二階堂馨市長は4月上旬の記者会見で強調した。新発田市議として合併を推進。10年に市長選で初当選し、現在4期目となる。
市は03年に旧豊浦町を編入。05年に2町村を編入して現在の形となった。合併時点で969人だった市職員数は、今年4月時点で853人に減少。そのうち、旧紫雲寺町役場だった紫雲寺支所は113人から窓口担当の8人に、旧加治川村役場の加治川支所は93人から同8人に減った。
機能や人員を本庁に集約し、業務を効率化。一部の部署を支所に分散させ、庁舎を活用しているが、地域の中核施設の役割が縮小したことで、周辺のにぎわいが失われたとの声もある。
豊浦、紫雲寺、加治川の3商工会が合併し、4月に発足した「しばた商工会」の副会長で、旧加治川商工会の会長だった中野康平さん(64)は「個人商店が次々となくなり『買い物難民』の問題も起きている」と指摘する。
加治川地域は特に、人口減少が深刻だ。25年3月末時点の住民基本台帳に基づく人口は、市全体が合併当時と比べ14・4%減の9万1157人。紫雲寺地域は21・5%減の6307人、加治川地域は25・5%減の5357人となっている。
加治川地域では、22年に市内唯一の「道の駅加治川」が新装オープンしたものの同年、過疎地域に指定。過疎債を活用して保育園を改築し、建物のエネルギー消費量を実質ゼロとする「ZEB(ゼブ)」認証を得る先進的な事業に取り組む。ただ、中野さんは「過疎地域というイメージは、さらなる人口減につながりかねない。歯止めをかける施策が急務だ」と訴える。

2022年にリニューアルオープンした「道の駅加治川」=新発田市横岡

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